五代友厚の人生の歴史検証について

五代友厚は父・秀尭の儒学と兄・徳夫の武士道を越え、本物のリアリストとして生きた。
本物というのは人間の欲、実利追及だけでなく普遍性を侍に求めたからである。

1865年の英国留学の時、自分もロンドン大学において勉学の時間をとりたかっただろうにそれは14名の留学生に行かせ、自らは武士の世界では商売ははしたないと言われていたのに、マンチェスター、バーミンガムへ木綿紡績機械・武器購入に出かけ、巴里に於いて「モンブラン」と貿易商社の設立を協議する事に尽力した。

日本の資本主義の礎を築いたと評価できる。

資本主義自体は本質的にグローバル化を要求するものであるが、五代友厚が今生きていたら、グローバル化、グローバル人材育成戦略は、決して国なり教育の方針としては取り入れなかった筈である。
何故なら、グローバル人材育成は企業の収益を上げるための合理的な選択であっても、若い人が社会的成熟を遂げて公共的な義務を担ってくれなくなるからである。
それでは、普遍性を持った国民国家は成立しない。

グローバル化には人・物・金(貨幣)の3種類がある。
物のグローバル化は指針として良いですが、人と金とはあくまで国家の性質、歴史、あり方を十分論議する必要がある。
今、資本主義が危ない。
相互扶助、相互支援的な共同体を取り戻すために各人が大人になるよう努力すべき時である。

廣田稔