グローバル人材育成戦略について

まず、大学においてグローバル化を目指すと公言されている時、十分検証する必要がある。

単にグローバルな人材を育成しようとしているのなら、それは大学教育ではない。
大学は単にスキルだけを学ぶところではない。
ソウルをも併せて学ぶところである。

グローバルな人材の定義を大学に聴いてみるとよい。
どういう答えが返ってくるであろうか?
世間ではグローバルな人材とは

「英語が話せてソツなネゴシエーションができて、体力があって、安い賃金に耐えて、辞令一本で翌日には海外の支店や工場に飛んでゆける人」

のことで、企業に有益な人であると言われている。

そこには一つとソウルがない。
唯、スキルだけ磨けばよいのである。

ソウルとは、学問の価値を知り、歴史の学び方をを学び、人生の意義を哲学者との対話の中で考え、普遍的な英知を体得できるよう努力していくことである。

内田樹先生は、真にグローバルな人材とは、汎用性の高い知見を知り、できることなら「あるべき世界のかたち」を(さしあたり現実性が低いアイデアであろうともコツコツと)大胆に指示し行動できる人であると言われる。
そして、既に誰かがルールを決めて始めてしまったゲームで、相対的な優劣を競うことに夢中になることなく、自分自身が置かれている歴史的条件や文脈を俯瞰的にとらえ、前進的な自己超越の志を見出すよう努力せよと言われている。

残された人生、自己の中にある他者の覚地のため先生の本を再度開いて、悩みながら楽しんでみよう。

廣田 稔