気分のいい世界

五代友厚プロジェクトでは、平成25年12月以来五代友厚の人生検証を自己との対比のもとで行ない、できるならば明治151年、日本資本主義151年以降の日本の有り方進むべき道を示せる映画創りをしたいと進んできた。

今、五代さんの他者貢献の姿を想い浮かべ「実もいらぬ、名もいらぬ、ただ未来へ」という言葉を鈴木プロデュサーが提示したので、それを採用している。
進むべき道を示すには、何らかの指針が必要だと言われるが、果してそれだけで人間が前を向いて行動できるのか?

指針を言語として標榜するだけではダメで、文脈が必要なので映画を選んだ。
映画で、未来社会の先駆的形態を語ることは安易ではない。

五代プロジェクトでは、その悩みを抱えながら平成30年9月で48回目の会議を重ね、平成26年瀧善三郎正信の墓参、いちき串木野の港、記念館、鹿児島長崎訪問、五代甲子園大会、五代友厚墓参、展示会開催等種々行事をやり続けている。

全て手弁当である。
行事の費用も手弁当もある。
しかし、行事した後の会食は楽しい。
代金は、金を凄く稼いでいる人が出す。
勿論皆様からお預かりしている映画資金からは一円も出さない。

南鷹師匠も忙しいのに、奥さん共々手伝ってくれる。
五代塾の皆様は、知識と体力を惜しむことなく提供してくれる。
石原田、鈴木、出来さんには、よく叱られる。
ある社長には、経費のほとんどをお世話になっている。
他のメンバーにも苦労をかけている。
それこそ次世代への伝承、共に考えると言う時を次世代へと黙々と忙しい中取りくんでいる。

各人の行動の基準は、「競争」ではなく「共生」の原動が支配している。
私的利益と公共の福祉が、同時的にほとんど同じものとして追及されようとしている。
それは、この映画に利益を求めることなく協賛してくれた人の心意気と同趣である。

よく考えると、映画が出来るこれらの五代プロジェクトの歩みの中で、未来の指針ひとりひとりの潜在可能性の開花を全員が相互に支援し合う場、つまり、気分のいい世界の一つの萌芽が出来ているのかも知れない。

面白い。

わずかな空間わずかな人々によっても気分のいい世界は作れる。
それが沢山になって行けば良いのではないかと今思っている。

廣田 稔